プロトピックは、アトピー性皮膚炎の治療などに使用させる軟膏の名前のことで、タクロリスムを含む免疫抑制剤です。
タクロリスムとは、免疫機能を低下させる働きがありますので、免疫反応が過敏に働いて炎症を起こしているアトピーの症状を抑える効果があります。
しかもその効果は比較的高く、ステロイド外用剤に例えると、リンデロンやフルコートが属する3群(強力)に匹敵します。
ですが、使える部分は全身というわけではなく、顔や首などの皮膚の薄い部分に限られてしまいます。それは、プロトピックの分子量が大きいため、ステロイドと比べると吸収されにくいからです。つまり、皮膚の薄い部分に使うと効果があるということです。
ステロイド剤を使いたくない顔や首回りに用いられていますので、「赤ら顔」や「赤み」の治療に適しています。
プロトピックは顔のアトピー・赤ら顔に効く
長年の掻きむしりにより、どす黒く色素沈着してしまったものにはそれほど大きな効果は望めませんが、顔の赤みや赤ら顔には本当によく効きます。
先述したとおり、3群(強力)のステロイド剤と同等の抗炎症作用がありますが、ステロイドのような皮膚の萎縮や毛細血管の拡張といった副作用がないため、安心して顔にも使用できることと、免疫抑制効果により、暴走している免疫反応を抑えることで、痒みも減り、掻きむしりの回数も次第に減っていき、顔の皮膚が次第に安定してきます。結果として顔の赤みも引いてくれるということです。
参考にプロトピックで顔の赤みが治った事例の写真も掲載しておきます。
出典:How Protopic for eczema changed my life
現在顔にステロイド剤を塗っている方は、プロトピックへ切り替えてみると良いと思います。
※もちろんアトピーそのものが治るわけではありませんので、プロトピックにだけ頼るのではなく、体質改善に努めることは必須です。
私の場合は、プロトピックで顔や首回りの症状が落ち着いて暫くすると、顔の皮膚の厚みが次第に増して上部になっていることが感覚でわかるようになるので、その時はプロトピックの使用を一旦止め、保湿剤で肌のよい状態を保つように心がけています。
プロトピックの副作用
ステロイド剤の使用に見られる毛細血管の拡張や皮膚の萎縮などといった副作用はありません。
発がん性について示唆している文献などもありますが、アトピー治療においては使用上の注意を守ればそれほど心配する必要も無いでしょう。
私は長年使用していますが、副作用は起きていないですし、365日毎日塗り続けているわけではありませんので、適切に使えば顔の赤み対策(赤ら顔)に大変よく効く薬だと思っています。
ただ、使い始めの頃の「熱さ」「痛さ」「痛がゆさ」「熱痒さ」があり、これを副作用というのかわかりませんが、覚悟が必要です。
また、紫外線との相性がよくありませんおで注意が必要です。
プロトピックを痛くなく塗る上手な使い方
ステロイド剤のような副作用の心配が無いプロトピックですが、先述したとおり、使い始めの頃はその痛さや熱さにビックリされる方も多いでしょう。
せっかく顔の赤みを治すためにプロトピックを塗ったのに、その痛がゆさに我慢できずに掻きむしってしまい、かえって悪化してしまったということにならないように気をつけたいところですね。
そこで、私がやっている上手にプロトピックを使う方法を書いてみたいと思います。
○使い始めの頃
・引っ掻き傷や湿疹など炎症が起きている場合には、アルメタなどの弱いランクのステロイドで、症状を落ち着かせる。
(傷があると、その部分から急激にプロトピックが吸収されてしまうため、気が狂いそうなほどの熱さ・痛さ・痒みに襲われてしまうからです。)
・ヒルドイドローションなどの保湿剤を全体に薄く塗り、皮膚全体をしっとりさせた後にプロトピックを塗ります。ホホバオイルなどもいいですね。
(あらかじめ保湿剤を塗っておくことで、次に塗るプロトピックの急激な吸収を和らげます。)
○皮膚が安定してきたら
・プロトピックは吸収されにくいです。保湿剤とプロトピックを併用する場合は、先にプロトピックを塗ります。
○皮膚が安定したら
これは個人的な体験に基づく意見ですが、ステロイドやプロトピックは確かに効くのですが、塗り続けるとそのうちだんだん効かなくなってきます。
ですので、塗り続けることはできるだけ避けています。プロトピックで皮膚が安定したら、その後は保湿剤のみでできるだけ過ごすように心がけています。
プロトピックの注意点
目や目の周りに使用しないように注意することはもちろんですが、先述したとおり、使い始めの熱さや痛さに注意して下さい。
○感染症
それと、タクロリスムという免疫抑制剤ですので、ニキビ、毛嚢炎(もうのうえん)、カポジ水痘様発疹症、ヘルペスなどの感染症にかかりやすくなります。
そのような症状が現れたらすぐに使用を中止するべきです。私の場合は、感染症対策としてゲンタシン軟膏(抗生物質)を常備しています。
とにもかくにも、できるだけ皮膚を清潔にすることが不可欠となります。
○紫外線
プロトピックを塗った後には強い日光に当たらないように注意が必要です。
直射日光の何が悪いのかというと「紫外線」です。ですが、アトピーの治療には「紫外線療法」というものがあります。なのになぜ「紫外線」はだめなのでしょうか?
じつは紫外線療法をやる前にプロトピックの使用は禁止となっているのです。
その根拠はとある「マウスを使った実験」によるものですが、
マウスにプロトピックを塗ると同時に紫外線をあてるというものです。
その結果、皮膚癌になるリスクが高まったということです。
この実験に使ったマウスは皮膚癌になりやすい特殊なマウスであったことや、マウスと人の皮膚は薄さも違いますし、構造にも違いがあるので、この結果をヒトにあてはめるのは大げさといった意見もあります。
プロトピックを塗ったまま外出してしまうことは、私もよくあることです。
ですから、それほど神経質にならずに、できるだけ日光に当たらないように気をつければいいと考えています。
また、在宅時や夜にプロトピックを使用し、朝出かけるときには洗顔をし、外出時は保湿で過ごすなど・・・工夫はできますよね。
プロトピックは副作用よりも主作用、つまりメリットのほうが遙かに大きな薬だと思っています。